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4日間にわたって行われた歌声ライブラリの収録

- 角元さんにVOCALOID歌声ライブラリの収録オファーがあったのはいつ頃ですか?

角元オファーがあったのは、2015年の夏ですね。そこから仮収録と本収録が3回あったので、スケジュールとしては計4日間ご一緒させていただきました。
もちろん、VOCALOIDのお仕事は初めてです。ユニティちゃん自体が今までリリースされてから、ありとあらゆる試みを取り組ませていただいてきたので、いよいよかという印象ではありましたね。
それくらい手広くやっていて、いつVOCALOIDになってもおかしくないキャラクターに育っていたので、そういう意味では「えっ? VOCALOIDになるんですか?」みたいな違和感はなくて。むしろ、それがすごくうれしかったです。

- まず、今回収録することになった歌声ライブラリについて、馬場さんからご説明いただけますでしょうか。

馬場簡単にいうと、声のもとになる人にその人自身を演じていただいて、その声質や歌唱に含まれる特長的な部分を封じ込めるように作成した声のデータベースを歌声ライブラリと呼んでいます。
もう少し具体的にご説明すると、どのような言葉の組み合わせでも歌唱合成できるよう、単語が列記されている原稿を特定のルールに沿って、またその人の声の音域をカバーするためにいくつかの音程を設定させていただいて、音程ごとに日本語版の場合で500個、英語版の場合で2500個程度の声の素片を集めてひとつにまとめたものです。

- 角元さんはそういった形の収録は初めてだったんでしょうか。

角元初めてです。声優として歌うこと、ユニティちゃんとしてしゃべることはあっても、しゃべるトーン、歌うトーンでパーツを打ち出していくという作業は経験したことがありませんでした。
VOCALOIDの歌声ライブラリはこういう風にできていくんだっていう純粋な驚きとともに、「こりゃ大変だぞ」っていうのが仮収録の段階でひしひしと伝わってきて。苦労しつつも、助けていただきながらやらせていただきました。

- 今回の収録は、合計で4日間ということでしたが、これは平均的な歌声ライブラリ収録期間でしょうか?

吉田はい。スケジュール感はだいたい一緒ですけれども、人によってはテスト録音をもう少し増やしたりだとか、本番録音がスムーズにいったので短くしたりだとかはあります。

- テストと本番の一番の大きな違いはどこにありますか?

吉田テスト録音というのは、角元さんがユニティちゃんを演じるにあたってどういう音域の声がどのくらいの強さ、声色で出せるのかを確認する意味もありますし、角元さん自身に本番ではこういうことをやりますっていうのをお伝えする意味もあります。
できた歌声ライブラリを実際にVOCALOIDで聞いてみて、「こういう声になるんだったら上の音域はもっと強いほうがいいんじゃないか、下の音域はもう少し弱いほうがメリハリがついていいんじゃないか」といった試聴面でのテストもあります。

- それではテストが終わってから本番の収録までは少し時間をとるんですね。

吉田はい。テストが終わってからチーム内でミーティングを行って、どういう歌声ライブラリを生み出すのか、どういう録音をしていけばいいのかを決めていきます。

「これはユニティちゃんなのかな?」と思いながらの収録

- 角元さんは、今回の収録で一番大変だったことってなんでしょうか。

角元私が声優として仕事をしている中で、3日間にわたって、ほぼ一日中これだけ声を出し続けるという収録は経験したことはありませんでした。
音のパーツを録る際は私がユニティちゃんになりやすいような単語を選んでくださったので、聞こえるようなパーツにはなっていたんですけれども、それでも普段慣れないことだったのでいくつかある音域の高い、普段気にせず使っている音域でずっと保つということが非常に大変だったかなとは思いますね。

- 歌や映像作品の収録であれば、事前に歌詞や台本が渡されるわけですが……。

角元はい、当日収録の現場でのお話を受けて、やってみましょうということで予習はほとんど……。復習は多少できたにしても、そんなにやってしまうと喉を枯らしてしまうので。もう行ったその場でですね。
本番の3日間はユニティちゃんであり続けましたし、なおかつ今回の歌声ライブラリを作るにあたって、ユニティちゃんのこの挑戦的な顔に似合うような声を出すようにというディレクションを多く受けていました。

- そんな中で、楽しめたことはありましたか?

角元今回の収録をやっていくことで、「ユニティちゃんってこういうところもあるな」っていう再発見につながりましたし、スタッフの皆様のお力によってVOCALOIDができていく様子を目の当たりにできました。
また、声出しをする際に、「こういう風にノリノリな歌で声だしをしましょう」と私が選んだ曲で声出しをやりました。普段私がカラオケで歌う曲をいくつか歌って、再度練習として流す頃には声出しで歌った曲がもうVOCALOIDとして歌っていてビックリしました。

- ゴールがだんだん近づいてくる。VOCALOIDは、初日から2日目に成長し、2日目から3日目に成長し、とだんだんクオリティが上がっていくようなイメージなのでしょうか?

吉田そういうわけでもないですね。日によって「今日はこの辺をやりましょう」とか、「次の日はこの辺をやりましょう」という風にやっているので、だんだん歌声ライブラリのクオリティが上がっていくというよりは、音域ごとのピースがはまっていくという感じですね。

角元そうでしたね。「この音域で試しに歌わせてみたらこんな風になった」って、さっきまで自分が歌っていた歌でVOCALOIDが歌っているのがすごく新鮮で。

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