123

「色即是空」――PROJECT:AKAZAで伝えたかったテーマ

- PROJECT:AKAZAについてご説明いただけますでしょうか。

ntnyPROJECT:AKAZAはVOCALOID Unity-chan!を取り巻く一連のワールドの総称です。

ntny世界観を大雑把に説明すると、時代背景はユニティちゃんの世界から更に数百~数千年後です。当然ユニティちゃん(大鳥こはく)は死んでいます。
では「彼女亡き後のコーゲン・シティは本当につまらなくなるか?」と言うとほぼ100%「No!」です。
この時点で、現メインフィールドである「小碓学園時代の未来」とは進む方向が変わっているわけですね。
PROJECT:AKAZAの舞台は絵にかいたようなディストピア。小碓学園時代~AKAZA時代の間に何があったかを想像してストーリーを考えてみてもらっても楽しいかもしれません。
(公式は何も用意していませんのでこの間に「正規ルート」は存在しません)

AKAZA時代、つまりユニティちゃんがいなくなった世界では皆創作疲れを起こしています。
それはアイデアが出てこないという意味ではなく、生まれた作品を外に出すことに恐怖、あるいはただ物を作って外に出したいだけなのに鬱陶しい人間が絡んできてその対応が面倒くさくなってしまっているんです。
これは今の僕らの時代でもすでに起こっていることです。

最初はニコニコやYouTubeコメント欄による「ただの好き嫌い論争」でした。
それがエスカレートしてアーティストのメールアドレスやTwitter、Facebookといったソーシャルな場にまで凸ってくる人が増えると作家はもう面倒なので物作るのを止めるわ、となりますよね。

ユニティちゃんによって創作者の数は凄く増えた。でも、増えすぎてしまった。これがAKAZA世界の始まりです。
たくさんの作品や動画が色んなところに発表されるようになったのはとても良いことです。ですが、同時にそれは「好き嫌い論争」のターゲットにされてしまうことでもあります。

恐ろしいことに、その「好き嫌い論争」は好きや嫌いといった感想を持ってすらいない人まで参加してきます。
作家の多くは基本的に「好き」、「嫌い」については感情的な嬉しさの違いはあれど、評価としてはどちらもしっかり受け止められるのですが、「作品に対する感想、感情ではなく、場の雰囲気で寄ってくる人」を相手にするとき「本当に」疲弊するのです。

こういったアーティストとファン、アンチによる戦いが長く続いた結果、アーティストは作品を発表することに疲れます。
ではファンはどうなるかというと、作家の作品が好きだった人は作家を貶した(あるいはただ嫌いと言っただけの人すら相手にして)人と喧嘩を始めるのです。
つまり「お前らがあんまり言うから〇〇が作品を作らなくなった!」と。

違うのです! 我々アーティストからするとファンもアンチも自分に熱意を向けてくれている大切な人達なのです。
あなた達はケンカしなくていい、我々を本当に疲れさせるのはあなた達ではないのだと。でも、もうそれすら言うのも面倒くさくなってしまった。

結果としてファン、アンチもまた「何も言わない」ということに落ち着いてしまいます。
これがAKAZA時代の「創作疲れ」です。

でも当たり前ですけど、人は娯楽を求めますよね?
捌け口を失った人がどこに矢を向けるかっていうと、多くは自分を管理している偉い人に向かうわけです。
そしてこう言いました。「誰か、これが一番いいって物を決めてくれ!」

そうして「どっかの偉い人」が生み出したのが「AKAZA」です。
ここからの流れはテキストを読んでいただいた方が正確に伝わると思うので、こちらを読んでいただければと思います。
(ちなみにコアなテーマ以外は未完成、生の制作メモです)

- その一連の流れがPROJECT:AKAZAだと。

ntnyそうです。
因みにこれらはC89の時点ですでに存在していたものなので、出そうと思えば出せました。
ただ結構ナイーブなネタであるのも事実なので、一旦落ち着いて見直してからにしよう、と言うことで今まで伏せていたのです。

テキストを読んでいただければわかると思いますが、PROJECT:AKAZAの本質(テーマ)は「作品を生み出すことを恐れないで! 評価することを恐れないで!」です。
PROJECT:AKAZA自体がVOCALOIDやAKAZAのことではなく、このテーマのことを指しています。

- つまり、PROJECT:AKAZAはバックグラウンドのメッセージを示していると。

ntnyそうです。
AKAZAはサンスクリット語で「空」という意味があります。
これは「色即是空・空即是色」の「空」です。この言葉の意味は各々が持つべき物なので「こうです」と説明することは出来ません。
(ちなみに「色即是空・空即是色」は自分の座右の銘でもあります)

123